何故勝てない髙橋宏斗よ!その訳は…
#046◆ 5/28(日) ― バンテリンドームナゴヤ
中 日 1 - 3 DeNA
宏斗の特徴に、2種類のスピリットボールの投げ分けがある。
ストライクを見逃しで取るスピリットと空振りをさせるスピリットの2種類だ。
前者はストレートと比べても左程球速が落ちない145キロ前後の落ち幅の少ないボールで、打者のタイミングを外す効果も抜群で見送ると低めいっぱいに決まって球審の手が上がりやすい。
後者は言うまでもなく鋭く落ちる所謂フォークボールでバットにもかすらせない決め球となる。
この2種類の落ちる球の投げ分けが上手くできた時宏斗は無類の好投を演じるのだ。
宏斗には他人に真似ができない技術があり、この2種の違ったボールを初速を変えず終速を変えて投げられることである。
分かりやすく言うと、前者は指の間を滑らせて投げ、後者は引っ掛けて投げる違いから来る技によるのではないだろうか。
さて、昨日のゲームに戻ろう。
この日はスイスイとここまでになかったくらいに快調ていい時の宏斗が完全に戻ってきたかのように頼もしく思えた。
だが、相手の先発大貫もかつてのドラゴンズキラーを発揮してゴロを打たせて取るという本来のピッチングを披露していて、なかなか宏斗を先に援護させてしまうような隙はみせなかった。
宏斗にとり初めて訪れた魔のイニングが5回にやってきた。
ワンアウトは取るが、旧チームメイト京田にセンター前に打たれてから調子を狂わせ始めた。
続く戸柱にはボール先行で2-2には持って行くが5球目のスピリットをバットに当てられファーストゴロに、ビシエドがゲッツーを焦ったのが珍しくセカンドへ悪送球でオールセーフ。
続くルーキー林には、1-1からここしかヒットの可能性はないという外寄りの甘くなったストレートを反対方向にチョコンと当てられ三遊間を抜けるヒットを打たれてしまう。2球目の外真っ直ぐがあまりにも素晴らしいボールで手が出なかったのがボールと判定されてそれよりもボールひとつ中に入ったストレートだったのが災いした。
前日まであんなに冴え渡っていた木下拓AIも狂いを生じ始めていたのだ。
1-1から小柄な林を攻めるボールはやはり外ではなく中に1球速い球が必要だったと思えた。不意に訪れたプチピンチに勝負を焦ったのかもしれない。
満塁になったが大貫は三振に斬った。
しかし、佐野が登場。
明らかに宏斗はこの佐野との勝負を嫌がっているように思えた。イコール宏斗のメンタルが弱気モードになっていたのかもしれない。先に点は与えたくないという気持ちも強くそのジレンマに腕の振りが弱くなっていた。
完全なボールが2球続いた。
3球目はそれ以上に完全な高めに外れるボールとなった。
佐野はツーストライクまで振らないと決めたのだろう。4球目は際どかったが内角ギリギリにいいストレートが行ったが、佐野のバットはビクともせず見逃してボールとなり押し出しの先制点を与えてしまうのだが、佐野には4球全てストレートだった。
押し出しの四球となったがここでは宏斗に開き直りが求められた。何故なら佐野との勝負を嫌っての四球だから仕方なく押し出しを却ってよしとして欲しかった。
続くバッターこそ現在のベイスターズでは一番嫌な関根だった。
宏斗同様木下拓も開き直りが求められる場面だった。
押して押して押しての勝負ではなくここでは引いて引いて引いての勝負を選択すべきだと思って見ていたが、逆にムキになっているかのように速いストレートとストライクを取るスピリットで攻めた。
初球、内角157キロストレート見逃しストライク、2球目、外へ147キロスピリット見逃しストライク、3球目、外へ157キロストレート見逃しボール
、4球目、内角膝元へ155キロストレート見逃し惜しくも判定ボール、これで2-2に。結果この次のボールが勝負の分かれ目となるのだが、実はその前の3、4のボールのコースの選択が逆だと思った。内直外変外直内直で2-2となっていたが、内直外変で2-0なら内直外直もしくは内変外変でよかったのではと思ったのだ。関根は3か4のどちらかに手を出して引っ掛けていたように思えた。しかし、結果は5球目を外へストライクを取るスピリットを投げさせたのだった。145キロのスピリットがストライクゾーンに入ったのを見越したかのように流し打ちされてレフト前に2点タイムリーとなったのだ。関根の完全な読み勝ちだった。
ということは木下拓AIの負けである。
この回だけ木下拓AIが誤作動を起こしたのも、ビシエドの思わぬ失策が木下拓の頭脳に先に点をやりたくないという弱気なメンタルを呼び起こしてしまったことによるのだろう。
冒頭に書いた宏斗の2種類のスピリットのうち、勝負にボールになる落ちの激しいスピリットを選択していたらこの結果になることはなかったようにも思った。
宏斗を強気一辺倒に投げさせるのには先制点が不可欠だと改めて思わされた残念な6敗目となってしまった。
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