2023年5月30日 (火)

何故勝てない髙橋宏斗よ!その訳は…

#046◆ 5/28(日) ― バンテリンドームナゴヤ

 中 日        1   -   3     DeNA

 

 

宏斗の特徴に、2種類のスピリットボールの投げ分けがある。
ストライクを見逃しで取るスピリットと空振りをさせるスピリットの2種類だ。
前者はストレートと比べても左程球速が落ちない145キロ前後の落ち幅の少ないボールで、打者のタイミングを外す効果も抜群で見送ると低めいっぱいに決まって球審の手が上がりやすい。
後者は言うまでもなく鋭く落ちる所謂フォークボールでバットにもかすらせない決め球となる。

この2種類の落ちる球の投げ分けが上手くできた時宏斗は無類の好投を演じるのだ。
宏斗には他人に真似ができない技術があり、この2種の違ったボールを初速を変えず終速を変えて投げられることである。
分かりやすく言うと、前者は指の間を滑らせて投げ、後者は引っ掛けて投げる違いから来る技によるのではないだろうか。

さて、昨日のゲームに戻ろう。
この日はスイスイとここまでになかったくらいに快調ていい時の宏斗が完全に戻ってきたかのように頼もしく思えた。
だが、相手の先発大貫もかつてのドラゴンズキラーを発揮してゴロを打たせて取るという本来のピッチングを披露していて、なかなか宏斗を先に援護させてしまうような隙はみせなかった。

宏斗にとり初めて訪れた魔のイニングが5回にやってきた。
ワンアウトは取るが、旧チームメイト京田にセンター前に打たれてから調子を狂わせ始めた。
続く戸柱にはボール先行で2-2には持って行くが5球目のスピリットをバットに当てられファーストゴロに、ビシエドがゲッツーを焦ったのが珍しくセカンドへ悪送球でオールセーフ。

続くルーキー林には、1-1からここしかヒットの可能性はないという外寄りの甘くなったストレートを反対方向にチョコンと当てられ三遊間を抜けるヒットを打たれてしまう。2球目の外真っ直ぐがあまりにも素晴らしいボールで手が出なかったのがボールと判定されてそれよりもボールひとつ中に入ったストレートだったのが災いした。

前日まであんなに冴え渡っていた木下拓AIも狂いを生じ始めていたのだ。

1-1から小柄な林を攻めるボールはやはり外ではなく中に1球速い球が必要だったと思えた。不意に訪れたプチピンチに勝負を焦ったのかもしれない。

満塁になったが大貫は三振に斬った。

しかし、佐野が登場。

明らかに宏斗はこの佐野との勝負を嫌がっているように思えた。イコール宏斗のメンタルが弱気モードになっていたのかもしれない。先に点は与えたくないという気持ちも強くそのジレンマに腕の振りが弱くなっていた。

完全なボールが2球続いた。
3球目はそれ以上に完全な高めに外れるボールとなった。

佐野はツーストライクまで振らないと決めたのだろう。4球目は際どかったが内角ギリギリにいいストレートが行ったが、佐野のバットはビクともせず見逃してボールとなり押し出しの先制点を与えてしまうのだが、佐野には4球全てストレートだった。

押し出しの四球となったがここでは宏斗に開き直りが求められた。何故なら佐野との勝負を嫌っての四球だから仕方なく押し出しを却ってよしとして欲しかった。

続くバッターこそ現在のベイスターズでは一番嫌な関根だった。

宏斗同様木下拓も開き直りが求められる場面だった。
押して押して押しての勝負ではなくここでは引いて引いて引いての勝負を選択すべきだと思って見ていたが、逆にムキになっているかのように速いストレートとストライクを取るスピリットで攻めた。

初球、内角157キロストレート見逃しストライク、2球目、外へ147キロスピリット見逃しストライク、3球目、外へ157キロストレート見逃しボール
、4球目、内角膝元へ155キロストレート見逃し惜しくも判定ボール、これで2-2に。結果この次のボールが勝負の分かれ目となるのだが、実はその前の3、4のボールのコースの選択が逆だと思った。内直外変外直内直で2-2となっていたが、内直外変で2-0なら内直外直もしくは内変外変でよかったのではと思ったのだ。関根は3か4のどちらかに手を出して引っ掛けていたように思えた。しかし、結果は5球目を外へストライクを取るスピリットを投げさせたのだった。145キロのスピリットがストライクゾーンに入ったのを見越したかのように流し打ちされてレフト前に2点タイムリーとなったのだ。関根の完全な読み勝ちだった。
ということは木下拓AIの負けである。

この回だけ木下拓AIが誤作動を起こしたのも、ビシエドの思わぬ失策が木下拓の頭脳に先に点をやりたくないという弱気なメンタルを呼び起こしてしまったことによるのだろう。

冒頭に書いた宏斗の2種類のスピリットのうち、勝負にボールになる落ちの激しいスピリットを選択していたらこの結果になることはなかったようにも思った。

宏斗を強気一辺倒に投げさせるのには先制点が不可欠だと改めて思わされた残念な6敗目となってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Db2022tw_20220405192801

| | | コメント (0)

2023年5月28日 (日)

明と暗の風景が見えたゲームとなったが…

#045◆ 5/27(土) ― バンテリンドームナゴヤ

 中 日        3×   -   2     DeNA
 (9回サヨナラ)

 

 

前日のヒーローインタビュー時にドラゴンズの福が見せた行動に賞賛が集まったのは、同じ難病を克服して自らの復帰時にドラゴンズファンに向けて「福選手もきっと復活するから大丈夫です」と福にエールを送ったベイスターズの三島への感謝の気持ちをレフトスタンドに残るベイスターズファンに向かって「僕が今ここで投げられているのは三島選手とベイスターズファンの皆さんの声援のお陰です」と頭を下げて語りかけた行動だった。

そしてこの日同点で迎えた9回のドラゴンズの攻撃に立ち向かうマウンドにはその三島が立っていた。

7回のピンチをこの日も三振で切り抜けた福はドラゴンズベンチの最前列で味方の攻撃に声援を送っていた。
そして自分の視線の先には共に同じ難病を乗り超えて躍動する三島がいた。

二死二塁1打サヨナラの打席にはルーキー村松、4球目鋭く振った一二塁間を襲う打球をソトが好捕してベースに入る三島にトス、しかし必死に走った村松の足がほんの少し三島の足を上回り須山塁審がセーフのジャッジ、倒れかけた三島が振り向きざまにホームに送球、二塁からは大島の代走伊藤がホームを陥れていたのだ。
戸柱のタッチを交わした伊藤の左手がホームベースを一瞬先に触れているのが見えた。

サヨナラを確信したドラゴンズナインは一斉にベンチを飛び出したが、ベイスターズ三浦監督のリクエスト要求に暫し立ち止まった。

まず一塁のプレーへのリクエストに対して審判団は判定通りのセーフを、続いたホームのクロスプレーに対するリクエストにも時間はかからず判定通りを宣言してゲームセット、ドラゴンズの今季初のサヨナラ勝利が決まった。

福と三島には、はっきりと明暗が分かれた勝敗となり何と野球の神様の悪戯は残酷なんだろうかと思えた瞬間だったが、「昨日の敵は今日の友」ならぬ「昨日の友は今日の敵」と「逆もまた真なり」の如く人生に於いての関係は常に動き続け、変わり易いものなのだろう。
この日2ホームランを放ったヒーローの細川には昨年まで所属していたベイスターズ相手に成し遂げた殊勲となり
、敵のショートには昨年までドラゴンズのチームリーダーだった京田が守っていた。

そしてこのような関係の変わり易さと同様にその結果の明暗もクルクルクルクルとこれからは変わり続けて行くのだろう。

3連勝のドラゴンズと4連敗のベイスターズも、この日に限ってはそんな明暗が光と影のようにそれぞれに訪れたが明日のことは誰にも分からないものである。

暫くの間セリーグでは王座の地位を譲らないだろうと予想されていた現在2連覇中のヤクルトスワローズがまさかの9連敗で5位とドラゴンズと0.5ゲーム差の所まで落ちて来ている。

歯車が噛み合っている時は感じない軋みも歯車が狂い始めた時には既に遅いということもあるのだ。

そしてその逆も必ずある。

その噛み合い始めた歯車を狂わせないように大事に真面目に取り組んで行くその先に全く違う景色が見えてくるに違いないから、今こそドラゴンズは全員が手綱を締め直して行くチャンスかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Db2022tw_20220405192801

| | | コメント (0)

«随所に冴えたAI木下拓